副腎疲労 は、最近よく耳にする症状です。 「 更年期障害 」 に比べると、 「 副腎疲労 」 という言葉には、まだ馴染みがないかもしれません。
副腎疲労 とは、文字通り、副腎が疲れている、という意味で、最近、マスコミなどで取り上げられ、健康に敏感な人々の間で話題になっています。
副腎は、いったい、どんなときに疲れてしまうのでしょうか。私たちの体内では、日々、さまざまな問題が起きています。
たとえば、血管内や臓器で小さな炎症が起きる、細胞が傷つく、がん細胞が発生する 。
これらは、多かれ少なかれ、誰のからだの中でも毎日発生しています。そうした諸問題に対応しているのが、からだの免疫機能と、ホルモンです。からだに問題が起きると、各内分泌器官から必要に応じてホルモンが分泌され、それに反応するかたちで、からだの各組織が問題解決に動き出します。
ですから、体内で何か問題が起きても、必要なホルモンがちゃんと分泌され、それに応じてからだの各組織がちゃんと働いてくれれば、私たちは病気にかかりにくく、新陳代謝が進むため、元気でいられるし、肌などの美しさも保っていられます。
しかし、からだの中で起きる問題が大き過ぎたり、多過ぎたりすると、各器官はホルモンがだんだん分泌できなくなっていきます。
特に、体内のすべてのホルモンのおおもとともいえる副腎は過労気味になり、やがて疲れ果ててしまうのです。
これが副腎疲労です。こうなると、全身は疲労感でいっぱいで、朝起きるのがとても辛くなります。
いくら休んでもなかなか疲れがとれません。記憶力や集中力が落ち、仕事にも影響が出ます。
よく眠れなくなり、気分もうつ的になります。肌は荒れ、髪はやせ、太りはじめる人もいます。
PMS が悪化したり、 性欲 が減退する人もいます。免疫力が落ちて、風邪や感染症など、病気にかかりやすくなります。
アレルギー症状がひどくなったり、 動脈硬化 や 糖尿病 になったりすることもあります。本当に重症の人は、そのまま寝たきりになってしまうこともあるのです。
さらに、副腎が疲れるとほかの内分泌器官にも影響が出ます。たとえば、副腎で作られるコルチゾール( ストレスホルモンとも呼ばれている) にはプロゲステロンの働きを抑える作用もあるので、ストレスがかかり副腎の調子が悪くなるとコルチゾールの分泌が増え、プロゲステロンの作用が抑えられることによってエストロゲン優勢状態になりやすく、PMS や更年期障害なども悪化しやすいのです。
ストレスが多い現代において、アメリカの場合、8割の人が多かれ少なかれ、副腎疲労に陥っているといわれています。日本の比率は不明ですが、かなり多いことは間違いありません。
多くの人は軽症なので、休息や軽い運動、食習慣の改善などで回復しますが、2割くらいの人は、病院での治療が必要です。すでにアメリカの抗加齢医学会をはじめヨーロッパの医学界では、あらゆる病気の治療において、まず副腎の状態を確認し、その治療にあたることが常識となりつつあります。
にもかかわらず、残念ながら日本には 「 副腎疲労 」 が正式な病名として未だに認められていないため、治療に保険がききません。
副腎を大切にするという考え方がなかなか広まらないのは、そんな理由が関係しているのでしょう。
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