女性の老化防止の習慣 > 2021年 > 4月

妊娠経験のない人は、より注意が必要

妊娠経験のない人は、より注意が必要

妊娠経験のない人は、より注意が必要 ということはどういうことでしょうか?最近は、生涯、妊娠・出産を経験しない女性も決して少なくありません。

よく、「出産していない女性は、している女性に比べて、婦人科系の がん など、病気になりやすい」といわれていますが、それは、なぜなのでしょう。

妊娠経験のない人は、より注意が必要
妊娠経験のない人は、より注意が必要

理由はやはり、 エストロゲン優勢状態 にあります。 プロゲステロン は、妊娠と出産において非常に重要な役割を果たすホルモンであり、子宮内膜を維持する働きをしています。

毎月、排卵があっても妊娠しない場合、一度上がっていた プロゲステロン の分泌が急激に下がることで、子宮内膜が体外に排出されます。これが生理です。ですから、卵子が受精し、着床すると、子宮内膜が排出されないように、プロゲステロン はその後も分泌され続けることになります。

さらに、胎盤ができると、そこで プロゲステロン が作られ、以降は出産日に向けて、その生産量は桁違いに増えていきます。そして出産後、 プロゲステロン の量は急激に下がり、元の分泌量に戻るのです。

つまり、妊娠している間は、 プロゲステロン が高い値が続くので、妊娠・出産の回数が多いほど、一生のうち、体内のプロゲステロン高値の期間が長くなります。

反対に、妊娠・出産の経験がなければ、 エストロゲン優勢状態 にさらされている時間は長くなつてしまいます。 エストロゲン には細胞の増殖を促す力があり、 プロゲステロン にはそれを抑える力があります。ですから、 エストロゲン優勢状態 である時間が長ければ長いほど、どうしても 乳がん や 子宮がん のリスクは上がってしまうのです。

実際に、出産している人に 乳がん 子宮がん が少ないのは、そのためです。ただし、妊娠経験がなくても がん にならない人は大勢います。あまり神経質になる必要はありませんが、がん検診などはしっかり受けておくと安心だと思います。

乳がんの教科書

血管系の深刻な病気にも悪影響

血管系の深刻な病気にも悪影響 とはどういったことでしょうか?女性の中には、年をとって女性ホルモンが低下して、多少見かけが老けたり、体力が落ちたりしても、まあ、仕方がない と、あまり気にしない方もいらっしやるかもしれません。

血管系の深刻な病気にも悪影響
血管系の深刻な病気にも悪影響

しかし、脅かすわけではないのですが、 女性ホルモン の低下が、生命に危機を及ぼす 心筋梗塞 や 脳卒中 などの一因になるということは、ぜひとも知っておいていただきたいと思います。

心筋梗塞 や 脳卒中 などは、一般に男性の方が多いと思われています。しかし実際は、閉経後の女性に限ると、発生頻度に大きな差はなくなるのです。

この事実からも、 女性ホルモン がいかに女性の健康に大きな役割を果たしているか、おわかりいただけるでしょう。

ここでも特に注目すべきは、 プロゲステロン の作用です。血管の質を良くする、血栓ができにくくする、血液の流れを良くするといった働きがあり、血管から全身の健康を守ってくれています。

これに対して エストロゲン には、血管の質を落としたり、血栓をできやすくする作用があります。ですから、 プロゲステロン が減り、 エストロゲン 優勢状態が続くと、 心筋梗塞 や 脳卒中 のリスクがぐんと上がってしまうのです。

実は、 エストロゲン には血液中のコレステロール値を下げる作用があり、かつて、エストロゲンを補充すると心臓病や脳卒中が減ると考えられていました。しかし、その後の研究でエストロゲンを補充すると、反対に血栓症が増えるということがわかってきたため、世界的に、 エストロゲン の補充は慎重に行われるようになってきました。

日本でも、平成25年、低用量ピルが原因と考えられる静脈血栓症による死亡例が3例報告され、投与に関して注意喚起がなされています。

一般に「ピル」と呼ばれている薬剤は、合成エストロゲンなどを含む人工のホルモン剤です。血管への悪影響が強く疑われているので、安全のため、使わないにこしたことはありません。

血管はもっと若返る