中途失明の1位は糖尿病網膜症
生活習慣病のひとつである糖尿病は、全身のさまざまな部位に合併症を引き起こすやっかいな病気です。目も例外ではなく、「糖尿病網膜症」は、この病気による失明者が急増しているために問題となっています。
糖尿病の合併症 | 健康メモhttps://health-memo.com/2015/01/27/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%AE%E5%90%88%E4%BD%B5%E7%97%87/
この合併症は決してめずらしいものではなく、全糖尿病患者の2割は、糖尿病が悪化したために失明していたり、また失明の一歩手前にいると推定されています。糖尿病による合併症の中でも失明は非常に重大です。
糖尿病になると、血中のぶどう糖が増え、血管を詰まらせたりこぶをつくったりして血液の流れを悪くするようになります。すると血液によって運ばれる酸素が不足するため、血管そのものがもろくなり、特に毛細血管のような細い血管からは出血するようになります。
網膜という、ものを見るために欠かせない組織には、この毛細血管がたくさん走っており、ここで出血(眼底出血)が起こると、やがて視力が低下することになるのです。
そして、糖尿病網膜症がやっかいなのは、ほかの目の病気にも増して自覚症状に乏しく、糖尿病になってから10年くらいたたないと、症状が表に出てこないところです。糖尿病も自覚症状の少ない病気ですが、さらに合併症の症状も自覚症状が薄いのです。
本人が病気に気づくころには、かなり症状が悪化しているケースが多く、まったく気づかないまま、ある日突然、眼底出血や網膜剥離を起こし、視力が悪化することもあるのです。
糖尿病網膜症の進行
糖尿病網膜症は、次の3段階をたどりながら、ゆっくりと進んでいくのが特徴です。まず最初の段階は、「単純網膜症」とよばれます。
この段階では、もろくなった毛細血管しはくはんからにじみ出た血液が網膜に染みついて白い斑点(白斑)をつくったり、ところどころで小さな出血(点状出血) が起きたりします。
また、毛細血管にこぶができて詰まるようになりますが、黄斑部が障害されていなければ視力や視野の異常はあらわれないため、眼底検査をしない限り、ほとんど病気を発見することはできません。
さらに血糖値の高い状態が続くと、第2段階の「前増殖網膜症」に移ります。この段階では、単純網膜症でみられた白斑や点状出血がさらに増え、毛細血管も部分的に閉塞するようになりますが、やはり黄斑部に出血やむくみがなければ自覚症状はあらわれません。
そして、もっとも危険な第3段階は、「増殖網膜症」といい、失明の可能性が非常に高くなります。この段階では、毛細血管が詰まったために起こる酸欠状態を補うために「新生血管」がたくさんつくられ、網膜から硝子体に伸びていくようになります。これは急ごしらえの粗末な血管で、すぐに破れて出血を起こします。もし硝子体のなかで出血すると、目に入ってきた光がさえぎられるため視野にぼやけや飛蚊症があらわれることになり、ようやく目の異常に気つくのですが、出血が大量であれば、ほぼ失明状態になってしまいます。またこの段階になると、網膜と硝子体の間に「増殖膜」ができて癒着し、網膜がはがれ出すことがあります。
糖尿病網膜症の治療
糖尿病網膜症に対しては、血糖値のコントロールを柱に、進行段階に応じた治療を行います。まず症状がどの段階にあっても、糖尿病そのものの病状を悪化させないように、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせ、血糖値の安定に努めることが大切です。
ごく初期の単純網膜症であれば、こうした基本的な糖尿病治療によって、進行を抑えることができます。しだいに進行して、前増殖網膜症の段階に至ると、血糖値のコントロールだけで症状を改善することがむずかしくなるため、レーザーで網膜の広い範囲を焼き固める「光凝固」といぅ治療を行います。
この治療を行うと出血や白斑が消え、新生血管の発生や増殖を食い止めることができます。ただし、広範囲を焼き固めるためには、レーザーを1000回以上あてなければならず、治療は数回に分けて行わなくてはなりません。
そして症状が最終段階まで進み、硝子体のなかで大出血が起きていたり、増殖傾ができて網膜がはがれ始めているような場合には、「硝子体手術」で病変部を取り除くことになります。これは、まず吸引カッターという管で出血を吸い取ったうえで増殖膜を取り除き、はがれた網膜をもとの位置にもどすというものです。
眼科の手術のなかでも大変むずかしい部類に入る手術ですが、網膜剥離の改善には大きな効果を発揮します。
治療法はさまざまですが、できる限り早く異常を発見し、処置しなければならないのはいうまでもありません。処置が遅れて出血が広がれば、それだけ視力回復はむずかしくなります。
その他の目の合併症
糖尿病の人はアルコールを飲むなら「泡盛」などのように生活の中で血糖が上がりにくい習慣がとても大切です。
晩酌は、やめられないから…と言って心配してくれる家族に逆ギレするのではなく少しずつ量を減らす努力をしながら焼酎を泡盛に変えましょう。失明してしまうと本当に人生はつまらなくなってしまいます。
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