エストロゲン プロゲステロン については紹介しましたが、女性ホルモンといえば、 エストロゲン をイメージする人が大半です。 プロゲステロン は知らない方でも、 エストロゲン という言葉を聞いたことがないという女性は、まずいないと思います。大事なのは、エストロゲン プロゲステロンのバランスです。
そして、日本には「エストロゲンを増やす! 」と銘打った記事や、サプリメント・健康食品などであふれています。そのせいか、「 エストロゲン は多ければ多いほど若さが保てる」と信じて疑わない方が少なくありません。
しかし、結論からいうと、決してそんなことはありません。エストロゲンは非常に強力なホルモンですから、薬の副作用のように、からだに良い効果だけでなく、悪い影響を与えてしまうことも多いのです。
エストロゲン によって引き起こされる悪い影響は、実は意外にたくさんあります。
一例を挙げてみましょう。 子宮内膜がん や 乳がん のリスクを高める、 甲状腺ホルモン の機能を妨害する、血管の質を落とす、血栓ができやすくなる、体脂肪を増加させる、塩分や水分を体内にため込む、血糖値のコントロールを弱める、自己免疫疾患の引き金になる、不安感を増す、頭痛を起こす、パニック発作の原因となる、などです。
さらに、エストロゲンには性欲を減退させる作用まであるのです。みなさんが抱いていたイメージとは、かなり違っていたのではないでしょうか。
そもそも エストロゲン は、正確には エストロン 、 エストラジオール 、 エストリオール の3 つの女性ホルモンの総称です。
このうち、女性のからだに恩恵をもたらしてくれるのは、主に エストリオール です。 エストロン と エストラジオール については、体内で代謝されるときに発がん物質が作られる可能性が指摘されているのです。
では、いったい、 エストロゲン は、どれくらい体内にあればよいのでしょうか。残念ながら、その間いに、簡単に答えることはできません。
なぜなら、女性の若さと健康にとってもっとも大事なことは、エストロゲンの量そのものではなく、 エストロゲン ともうひとつの女性ホルモンである プロゲステロン が、適度なバランスを保っていることだからです。
実は、 エストロゲン の悪影響は、 エストロゲン が プロゲステロン より多い状態が続くと起こりやすくなります。これを「 エストロゲン優勢状態 」といいます。
そもそも若く健康な女性は、エストロゲンもプロゲステロンも十分に分泌されていて、しかも、互いにちょうど良いバランスを保っています。
しかし、どちらのホルモンも、加齢とともにどうしても量が減っていきます。このとき、両方が同じくらいの割合で減っていくぶんには、ふたつの ホルモン のバランスは保たれているので、からだにそれほど大きな悪影響は出ません。ところが、 プロゲステロン がたくさん減ってしまい、それに比べて エストロゲン の減りが少ない場合は、 エストロゲン の悪い影響がからだに表れやすくなります。この、 エストロゲン 優勢状態こそが、女性にとって辛いさまざまな症状を引き起こし、心とからだを老けさせてしまう大きな要因なのです。