若い頃は、誰しも病気とはあまり稼がないものです。しかし、40歳を過ぎると、男性も女性も、病院を訪れる人が急に増えはじめます。
特に女性の場合、それまであまり経験がなかった婦人科系の病気になることが増えてくるため、悩んでいる方は少なくありません。
こうした現象も、 女性ホルモン の変化と大いに関係があります。まず、無排卵月経がはじまる30代後半になると、卵巣嚢腫になる方が増えます。無症状の方から出血や痛みを伴う方までさまざまですが、その原因は、ホルモンの乱れにより排卵がうまくいかなくなった結果として起こると考えられています。
また、膣炎も増えはじめます。 エストロゲン には、膣の渇きや粘膜の萎縮を予防する働きがあるので、これが減ってくると、潤いがなくなり、細菌などに対する抵抗力が落ちるのです。
その結果、膣が委縮したり、膣炎にかかりやすくなります。そして、女性ホルモンが全体に低下した上に、 エストロゲン 優勢状態になると、カンジタ症になりやすくなります。
カンジタ菌は健康なときも人の皮膚や粘膜にある菌で、本来は有害なものではありません。しかし、抵抗力が落ちるなどの原因でカンジタ菌が異常に増殖してしまうと、かゆみなどの症状を引き起こします。
カンジタ菌の栄養分はブドウ糖なのですが、エストロゲン優勢状態だと粘膜にブドウ糖が増えるため、カンジタ菌が増えやすくなってしまうのです。
子宮内膜の細胞が、本来あるべきでない生殖器や骨盤の中、大腸、膀胱などで増殖してしまう子宮内膜症も、 エストロゲン 優勢状態が解消すると改善されることがあります。
子宮内膜症の原因はわかっていませんが、エストロゲンには子宮内膜細胞を刺激して増殖させる働きがあるからです。さらに、近年、増加傾向にある子宮頚部異形成や子宮がんも、実はエストロゲンにょって引き起こされる可能性が高いと考えられるようにななってきました。
子宮頚部異形成とは、子宮がん検査によって、「がんの前段階」と判断された状態のことです。
一般的な原因は、パピロマウィルスの感染です。何らかの刺激によって子宮頸管が傷つき、それが一因でウィルスに感染して炎症を起こしてしまうのです。
そして、そのときできた細胞が時間をかけてがんへと進展していくことがあるわけです。
しかし、軽度の子宮頚部異形成の場合、自然治癒することも多いので、経過観察を行っていれば、それほど心配することはありません。
ただ、何度も述べてきたように、 エストロゲン には細胞の増殖を推進する働きがあるので、子宮頚部異形成も、子宮がんも、エストロゲン優勢状態が長く続くとリスクが上がると考えて間違いないでしょう。
なお、もっともポピュラーな婦人科系の病気である子宮筋腫も、エストロゲン優勢と深い関係にあります。子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、原因はよくわかっていませんが、エストロゲンが筋腫の成長を促すことがわかっています。
実際、閉経が近づいてエストロゲンが低下してくると、筋腫も小さくなっていくのですが、その際、プロゲステロンが十分にあると、よりその後の経過が良いことが報告されています。