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視野がかけていく「緑内障」

眼圧上昇を引き起こす

「緑内障」は、目に起こる病気としては白内障とならんでよく耳にする病名です。

これは、眼圧の上昇によって視神経が侵され、視野が狭くなったり、ときには失明することもある恐ろしい病気です。原因と症状の進み方によっていくつかのタイプに分けられますが、どのタイプにも共通するのが、「眼圧」が病状を左右するということです。眼圧のコントロールが重要なポイントとなる眼病です。

そこでもう一度「眼圧」についてです。眼球が丸い形を保っていられるのは、眼球自体に「適度な張り」があるからです。この適度な張りが「眼圧」です。

眼圧は眼球のなかの房水の量によって決まり、この量が増えすぎた眼球は、必然的にパンパンに膨張して張ってしまいます。
眼圧が高いというのは、このような状態です。房水は毛様体から湧き出たあと、水晶体と虹彩の隙間を通って前房というスペースに流れていき、最終的にシュレム氏管から眼球の外に出ていきます。
しかし、シュレム氏管が圧迫されたり目詰まりを起こすと、出口を失った房水が眼内にどんどん増え、眼圧が高まってしまいます。

こうなると、眼球の後方にある視神経乳頭という視神経の束が圧力を受けて正常にはたらかなくなり、視野が狭まるなど見え方の異常を引き起こすのです。

正常な眼圧は、10~20mHgですが、これを超えた場合、緑内障の危険度が上がります。

眼圧の上昇が視神経を侵す理由

では、緑内障になると、どうして視野狭窄などの障害が起きるのでしょうか。この理由をさぐるためにまず、視神経が圧迫を受ける様子をみてみましょう。

網膜の中心部には光や色を感じる硯細胞が1億個以上あり、これが約120万本の視神経につながっています。視神経は網膜の後方にある視神経乳頭というところで1つの束になり、大脳まで伸びていますが、この束になる部分では、神経線維がほぼ直角に折れ曲がるため、構造的に弱くなっています。

そのため眼圧が高くなると、この部分がまず圧迫を受けるようになります。神経線維は圧迫を受け続けると死んでしまい、もとにもどることはありません。

死んだ視神経につながっている硯細胞が視覚情報をキャッチしても、大脳に伝わることはなく、視野に見えない部分ができてしまうのです。

このようにして視神経が部分的に破壊され、視野が狭くなった状態が視野狭窄、そして万が一、すべての視神経が破壊されてしまった場合には、失明ということになります。

緑内障で起きる視野狭窄は、徐々に広がっていく場合と、急激に進んでしまう場合があります.徐々に広がっていくタイプだと、本人が視野の異常に気づくのが遅れがちで、気づいたときには視神経の7割程度が破壊されていることも珍しくありません。

また、治療せずに放置しておくと、発病してから20年ほどで、ほとんど失明状態になってしまいます。ゆるやかに進行しているからと言って油断をしていると危険なのです。

因を特定できる緑内障

次に、緑内障の種類について、くわしくみていきましょう。緑内障は、直接的な原因があるかないかで、3つのタイプに分かれます。

まず、原因のある2つのタイプについてです。1つめは、もともと目の構造に問題があるタイプです。これは、房水の排出口のある「前房隅角」という部分に異常があって、房水がうまく流れ出ていかないために発病します。

生まれつき眼圧が高い「先天性緑内障」と、症状が青年期以降にあらわれる「発達性緑内障」があります。

2つめは、目のけがや病気が原因で起きるタイプで「続発性緑内障」といい、次のようなものが含まれます。

まず「外傷性緑内障」は、目を強くぶつけたために前房隅角が傷つき、眼圧が高まって視神経に障害を与えてしまうものです。
病気の影響によるものとしては、糖尿病網膜症の末期に起きる「血管新生緑内障」「糖尿病性緑内障」、ぶどう膜炎にともなう「ボスナーシュロッスマン症候群」「水晶体溶解シュロッスマン症候群」、目のなかが出血ときに血液が房水の排出口を詰まらせてしまう「溶血性緑内障」などがあります。

さらに、「ステロイド剤」の副作用によって眼圧が高まる緑内障もありますが、服用している人すべてに起こるわけではありません。
続発性緑内障を治すには、まず原因となっている病気の治療から取りかかることが必要です。

原因の特定が困難な緑内障

原因が特定できるタイプに対し、直接的な原因がわからないものを「原発性緑内障」とよんでいます。先天性や続発性よりもずっと多いのがこのタイプです。

原発性はさらに、症状が少しずつ進んでいく「慢性型」、突然激しい痛みが起きる「急性型」、眼圧が正常なのに緑内障を起こす「正常眼圧型」に分けることができます。

同じ原発性緑内障でも症状の進み方がまったく異なるので、ひとつひとつみていきます。

じんわりとと症状が進んでいく慢性型を、専門的には「開放隅角緑内障」といいます。原発性緑内障のなかでは、発生頻度がいちばん高く、40~50代の近視の人に多くみられます。

このタイプでは、「開放隅角」という名前が示すように、房水の排出口がふさがれているわけではありませんが、排出口の手前にあるフィルターの目が詰まっているため、房水がスムーズに排出されません。このため徐々に房水がたまって眼圧が高くなっていくという特徴があります。

また、両目の視野が鼻側から欠けていくのも特徴です。しかし、こうした変化は微妙なものなので、目に異常が起こっていることになかなか気づけないという怖さをもっています。

また、慢性型の緑内障の特徴として、遺伝性が高いことがあげられます。家族にこの病気の人がいた場合には、症状がなくても定期的に検査を受けておくことが大切です。次に、慢性型とは対照的な進み方をする急性型についてみていきましょう。

失明の危険が高い急性型の緑内障

「激しく痛む」発作とともに、急激に症状が悪化するのが急性型緑内障です。症状の特徴となる激しい痛みは、房水の通り道にある水晶体と虹彩が、瞬間的に強く接触したときに起こります。

このとき、房水の流れが完全にせき止められて排出口をふさぎ、眼圧が急激に上昇してしまうためです。このように房水の流れをシャットアウトしてしまう現象を「瞳孔ブロック」といい、たとぇば長時間下を見ていて水晶体の重みが虹彩にかかり続けたときや、目の検査に使われる散瞳薬を点眼したとき、興奮したとき、あるいは暗いところでものを見ようとするなど、瞳孔が開きかけるときに起こるとされています。

この現象は、高齢者や女性、遠視の人に比較的多くみられ、これには水晶体が老化するにしたがって大きくなり、眼球のなかで虹彩と接触しやすくなることが関係しています。

瞳孔ブロックによって緑内障の発作が起きると、目の激痛のほか、頭痛、吐き気、視力低下、光のまわりに虹がかかったように見える「虹視症」などの症状が突然あらわれます。

この場合、発作から48時間以内に処置をしないと眼圧が上がり続け、失明する危険があります。しかし、なかには急性型緑内障なのに、痛みなどの発作を経験することなく、慢性型のようにゆっくりと症状が進んでいく方もみられます。

最近増えている正常眼圧型の緑内障

これまで説明してきたように、緑内障とは眼圧が高くなって視神経が侵される病気です。しかし、最近日本で増えているのが、眼圧は正常範囲内にあるのに緑内障の症状があらわれる「正常眼圧型」というタイプです。

このタイプには、まだまだわからない部分が多く、症状が起こるメカニズムすらあきらかになっていません。原因としては、眼球内に正常な眼圧にも耐えられない構造上の問題があるのではないか、あるいは硯神経に栄養を送り込む毛細血管の流れが悪いのではないか、視神経そのものが弱いのではないかなど、いくつかの説が考えられています。

現在、日本の緑内障患者数は約200万人。なかでも40歳以上では、なんと30人にl人が緑内障を患っていると推計されています。しかし、実際に治療を受けているのは2割のみ。

残りの8割もの人は放置したままなのです。この驚くべき数字の原因は、正常眼圧型緑内障の急増にもあります。正常眼圧型の場合、眼圧を検査してもまったく異常がなく、しかも初期の自覚症状が少ないために、自分が緑内障であることに気づかないという危険な状況に置かれやすくなるのです。

緑内障は、糖尿病網膜症に次いで成人の中途失明の原因第2位を占める恐ろしい病気です。このため、水晶体が老化によって大きくなりはじめる40歳を過ぎたら、たとえ自覚症状や眼圧の異常がなくても定期的な目の検査を徹底しなければなりません。

緑内障の初期症状を見逃さないポイント

発見が遅れると大変危険な病軍である緑内障を少しでも早く見つけるためには、どのような変化に注意すればよいのでしょうか。

まず、ほかの目の病雪同様に、視力の低下を感じたり、目の疲労感がひどく、肩こりや頭痛をともなうような場合は要注意です。目が重いと感じたり、かすむときも、単なる疲れ目と放っておかないで、必ず検査を受けるようにしましょう。

次に、視野の一部が欠けることはないか、視野に何も映らない黒い点がないかどうかを確かめましょう。視野の異常は、両目で見ているとなかなか気づかないものですが、目を閉じて片目ずつ調べるとよくわかります。
特に鼻側が欠けていないかチェックしてください。そして眼圧が高まっている場合は、眼球をまぶたのうえからそっと押してみると、異常を感じることができます。

もし、弾力性が失われているようなら、緑内障のシグナルです。また、急性型の緑内障の場合は、光るものを見ると、周囲に虹がかかったように見えることがあります。この段階で眼科での治療を受けることができれば、急性発作を防ぐことができます。

年に1度の健康診断で眼圧に異常がなかったからといって、緑内障の可能性がゼロというわけではありません。検査だけで安心せずに日ごろのチェックを習慣にしましょう。

緑内障の治療

治療で改善できる点

原因を特定できない緑内障には、急激に痛みと視力低下をともなう発作が起きる「急性型緑内障」、徐々に眼圧が上昇し、視野狭窄や視野欠損が広がっていく「慢性型緑内障」、そして眼圧自体は正常であるにもかかわらず、緑内障特有の症状があらわれる「正常眼圧型緑内障」という3つのパターンがあります。

症状がはじまるメカニズムはそれぞれ異なりますが、共通しているのは、房水の流れが滞って眼圧が高まるため(正常眼圧型にはあてはまりません)、視神経が圧迫されて視野が欠けたり視力が低下したりという症状を伴い、最悪の場合には、失明の可能性が高いというところです。

現在、緑内障の治療法には、薬物療法・レーザー治療・手術という3通りがありますが、いずれも病気の原因を根本的に改善して、病気になる前の状態にもどすことはできません。

視神経はひとたび死んでしまうと、もとどおりによみがえることは決してありません。このため、視力障害や視野狭窄が起きてしまってからでは、たとえどんな治療法を用いても、正常な視野や視力を取り戻すことはできません。つまり、治療の目的は、いかに症状の進行を抑えたり、発作の再発を防ぐかという点につきます。

急性緑内障の治療

ほかのタイプの緑内障とは適い、急性型の場合は、発作が起きたら一刻も早く病院で処置を受けなければなりません。発作が起きてからどれくらいの時間がたっているかで、処置の方法や成否が変わってくるのです。

まず、発作から24聞以内に病院に駆けつけることができた場合には、まず薬を使って眼圧を下げ、激痛をやわらげます。眼圧を下げる薬には点眼薬と点滴による静脈注射がありますが、点滴は心臓や腎臓に障害をもつ患者さんには使えないこともあります。

発作からあまり時間がたっていない場合には、房水のつくられる量や排出量をコントロールする効果のある薬物を使うだけで瞳孔ブロックが解除され、せき止められていた房水が流れるようになり、眼圧を→ げることができるのです。

しかし、これはあくまでも応急処置なので、効果がわずか数時間程度しか持続しません。孟まま放置しておけば、再び同じような発作が起こります。このため、薬で眼圧を安定させたら、「レーザー治療」で発作の再発を防止する処置をほどこすことになります。また、すべての患者さんに薬の効果が出るわけではありません。その場合は最初からレーザー治療で症状を改善することになります。

レーザー治療

急性緑内障の発作が起こる最大の原因は、房水が硝子体と虹彩の隙間から前方の角膜のほうへ通り抜けることができずにたまってしまい、房水に押された虹彩が房水の排出口をふさいでしまうことです。

このため、薬で眼圧を安定させたら、次に房水がスムーズに流れるように、新しい排出路を眼球のなかにこしらえなくてはなりません。
この治療を「レーザー虹彩切開術」といい、とても簡単にできるので外来でも受けることができます。手順は、虹彩にレーザーをあてて小さな穴をあけるだけです。すると、それまで硝子体と虹彩の隙間にたまっていた房水が、瞳孔を通らずに眼球の前方(前房) に流れ出すようになります。この部分に房水が流れ込んで押し広げられると、虹彩と隅角の接触が解消され、房水の排出もスムーズに行われるようになるという仕組みです。

発作が起きたときには、まず症状のあるほうの目にこの治療を行います。しかし、急性型緑内障には、時間をおいてもう一方の目にも発作があらわれやすいという特徴があるので、発作を未然に防ぐため、まだ症状の出ていないほうの目にも早めに同じ処置を行うことになります。

手術が必要になる場合も

からだへの負担も少なくてすむレーザー虹彩切開術によって、急性型緑内障の9割以上は治療することができます。いったんこの処置を行えば、それ以上、視野狭窄や視力低下が進むことはなく、緑内障の発作が再発することもありません。

ただし、この治療法は時間との競争です。レーザー治療の効果が期待できるのは発作から3日以内。これよりも時間がたってしまうと、接触していた虹彩と隅角が癒着を起こし、いくらレーザーで迂回路をつくっても、排出口はふさがれたままで使いものにならなくなります。

また、発作後すぐに病院に駆けつけたのに、レーザー治療を受けられない患者さんもいます。これは、もともと虹彩と角膜が接近しすぎていて、レーザーをあてると切る必要のない部分にまで傷をつけてしまう可能性がある患者さんの場合です。

そこで、こうした2パターンの患者さんは、「線維柱帯切開術」あるいは「線維柱帯切除術」という手術のいずれかを受けることになります。
これらの手術は、房水の排出口の手前にあるフィルターの一部に切れ目を入れたり、切り取ったりして、房水の通りをよくするという方法ですが、やはり発作から処置まで時間がたつと、症状の進行を抑える効果があまり期待できません。

なお、この2つの手術は慢性型緑内障の治療でも行われる方法です。手術について説明する前に、慢性型の治療法をくわしくみておくことにしましょう。

慢性型緑内障治療の選択肢

急性型緑内障は発作後の処置によっては、失明の危険のある恐ろしい病軍ですが、適切な治療を行えば、以後は症状の悪化の心配はほとんどありません。

これに対し、むしろやっかいなのが慢性型緑内障です。なぜなら、症状の進み方がゆっくりとしていて自覚症状も少ないため、治療の開始が遅れがちなうえに、どのような治療を行っても症状の進行を完全に食い止めることはできないからです。
つまり、慢性型の緑内障を起こしたら、一生眼圧のコントロールをしながら病気とつきあっていかなくてはなりません。急性型のように、突然失明するといった恐ろしさはありませんが、仮に治療がうまくいっても通院は続けなくてはならないのです。

さて、現在、慢性型緑内障を改善する治療法には、点眼薬・内服薬・レーザー治療と手術という4通りがあり、これらはいずれもそれ以上視野が狭まるのを防いだり遅らせたりするために行われます。

使われる薬

慢性型の緑内障と診断されたら、まず最初に点眼薬による治療を行うのが一般的です。治療の目的は急性型と同じく眼圧を下げ安定させることで、初めに目標眼圧を決め、房水のつくられる量をコントロールする点眼薬を使って、目標値まで眼圧を下げていくことになります。

そして、この薬だけで効果があらわれない場合には、房水の排出量を増やす薬をあわせて使います。以後は薬を使い続けながら定期的に通院し、点眼薬の効果を調べるために眼圧と視野の検査を行うことになります。

仮に眼圧が一定レベルで安定していることがわかっても、それは薬がうまく房水の量を調節しているからで、中断すれば間違いなく症状が進んでしまいます。
点眼薬をずっと使い続けなければならない理由はここにあります。そして、点眼薬だけではなかなか眼圧をコントロールできない場合には、内服薬の投与を始めます。

これには、房水の生産に関わっている毛様体に作用して、生産量を制限する強い効果があります。ただし、効き目が強い分、手足のしびれや腎結石といった副作用が出やすいので、服用する量や期間を慎重に決めなくてはいけません。
少量で効果があらわれない場合、薬を増やすことはせず、この方法を中止してレーザー治療を行います。

レーザーでフィルターを焼き切る

点眼薬や内服薬だけでは、眼圧を目標値まで下げることができない場合には、レーザー治療を受けることになります。慢性型の緑内障は、フィルターの目詰まりが原因となって眼圧が高まった状態ですが、問題を起こしているフィルターの一部をレーザーで焼き切って、房水を通りやすくするのです。

専門的には「レーザー線維柱帯形成術」といいます。レーザーによる処置自体はむずかしいものではなく、副作用の心配もありませんが、難点をあげるとすれば、効果に確実性が欠けるということです。また、効果が出たとしても、1~2年程度しかもたないので、数年おきに同じ治療を繰り返すというケースもあります。

手術が必要な場合も

これまで説明してきた薬物療法やレーザー治療でも眼圧が下がらず、症状が悪化している場合には、手術で進行を遅らせます。急性型のところでお話ししたように、この手術には2つの種類があり、いずれも房水の通りをよくすることが目的です。

どちらの方法を行うかは、症状がどの程度進行しているかによって決められます。比較的早い時期に病気が見つかった場合は、房水の排出口であるシュレム氏管の内壁を切って流れやすくする「線維柱帯切開術」を行うことがあります。ただ、緑内障の場合は、早期の手術が必ずしも効果的とはいい切れない面があること、また、慢性型緑内障を早期の段階で発見することは大変むずかしいことなどから、実施例はあまり多くありません。

このような理由で、現在一般的に行われているのが「線維柱帯切除術」という方法です。これは、排出口とフィルターが埋まっている強膜の一部を切り取って穴をあけ、房水の新しい通り道をつくるというものです。房水は、本来の排出口ではなく、結膜の下から眼球の外に流れ出るようになります。

ただし、強膜を切り取っただけでは、房水がどんどん流れ出てしまい、逆に眼圧が下がって虹彩と角膜の癒着を引き起こしてしまいます。これを防ぐために、穴をあけた部分を糸でかがって大きさを加減し、房水の通り抜ける量を調節します。

正常眼圧型の緑内障は、眼圧に異常がないのになぜか視神経に障害があらわれるというもので、いったい何が原因なのかはっきりしたことはいまだにわかっていません。
そのため治療に際しても、確立された治療法があるわけではなく、効果があるのではないかと推測できるものを症状にあわせて取り入れていくしかありません。

基本的には、慢性型の治療法に準じた方法がとられるので、薬物治療が中心となります。まず、正常な眼圧さえも負担になっているのではないかと考えられるため、眼圧を下げる点眼薬を使って、経過をみていきます。また、血液の循環や視神経のはたらきを高めるために、血行促進薬やビタミン剤を服用することもあります。

日常生活の注意

ここまでは、緑内障のタイプごとに行われる治療法をみてきました。しかし、症状の進行を少しでも遅らせるためには、ふだんの過ごし方にも十分注意を払わなくてはなりません。目の状態を定期的に観察するようにしてください。
注意する点は、目の使いすぎ、一度に大量の水分を取り過ぎない、十分な睡眠、目に負担をかけない生活などです。

突然発作が起こる急性型の緑内障を確実に予防することはできませんが、眼の構造上発作を起こしやすくなっている人は、長時間、うつむいたままにしない、映画館などの位場所で目を酷使しない、興奮しすぎないようになどの状況を避けるように工夫してみましょう。発作を起こしやすくなるのは目の老化が進む高齢者、なかでも女性です。

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