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うつ病の症例 3「 疲れやすい ・ 風邪をひきやすい 」

風邪

疲れやすくだるい、休んでも疲れがとれないとなると、ほかに何かがあるのかも・・・と体の病気を疑うでしょう。でも、体だけでなく、心の疲れもこれらの症状を引き起こすのです。

疲れやすい、だるい、風邪をひきやすい のは うつ の症状?

IT 企業に勤めるMさんの場合。
Mさんは、2人の子どもを保育園に預け、残業の多い IT 企業に勤めています。仕事と家庭の両立で毎日が戦争状態。夕食の時間に帰宅が間に合わないので、子どもの食事は近くに住む義母に頼っています。申し訳ないなと思うものの、夫も忙しくあてになりません。最近はひどく疲れるようになりました。また、風邪をひくとなかなか治らず、ここ最近は四六時中体調不良です。

体がだるくて石のように重い、ちょっとした外出や運動をしたり、人と話したりしただけでどっと疲れる、むくみが出る、すぐ風邪をひくし、ひいたらなかなか治らない。こんな症状が続けば、誰もが悪性の風邪か、あるいは何か悪い病気ではないかと心配します。ところが、これらの症状が うつ病 から引き起こされることがあるのです。内科受診で改善しなければ、心療内科や精神科の受診も検討しましょう。

ハイペースの仕事で心身が疲れ、罪悪感からさらに心が疲れている

仕事に家庭にと走り回っているMさんのような人は、すでにオーバーワークで体も心もかなり疲れています。ところが、仕事にやりがいを感じていると、仕事がペースにのったときに充実感や満足感を感じ、ワクワクする脳内神経伝達物質ドーパミンが大量に分泌され、ますます気持ちが高まります。

疲れていてもワーカホリック状態になり止められなくなるのです。さらに、共働きで子育てをする女性は、母として自分は十分ではないと思い込みがち。子どもにも夫にも周りの人にも「申し訳ない」と常に思っています。自分では強く自覚していなくても、ハイペースの仕事で心身の疲労はたまり、日々周囲への罪悪感からさらに心にストレスをためているのです。

この積み重ねが、日曜日に休んだぐらいでは抜けない、強い疲労感となってあらわれてきたのでしょう。また、うつのときは免疫力が低下し感染に弱くなります。そのため、風邪だけではなく各種の感染症にかかるリスクも高くなります。

いったん風邪を引いて治ったのもつかの間、また引きなおす。うつ病の患者さんに見られる傾向のひとつです。この場合は、感染症の治療とともに、抗うつ薬や漢方薬を処方してもらいます。また、短期間でも仕事を休み、心身の疲れをとることが基本です。そうすれば、免疫力も戻ります。

「女性だから家事をしないといけない、育児をしないといけない」の思考は止めてまわりの人の助けを借りる

いったん疲労が回復しても、今後、繰り返さないためには考え方や生活を変えることが必要です。仕事を続けるなら「仕事の時間は、朝8時から夜7時まで。それが私のスタイル」と割り切ってしまいましょう。

疲れていても際限なく残業するクセがあるなら改善を。「17時には帰る」と心がけるのも大切です。また、家事や育児に対する罪悪感は、「女性ならこうすべき」という「Shouid思考」。

自分に必要以上のプレッシャーをかけ、うつのもとにもなります。思い込みは捨てて周囲から助けを借りればよいのです。休んで職場の人に悪く言われたとしても、気にしすぎないことです。将来、子どもに手がかからなくなったら、自分が子育て中の後輩を助けてお返しをすればよいのです。上手に助けを借りて、疲れをため込まなくなれば、免疫力も高まります。

「深酒」がうつ状態を悪化きせることもある

また、Mさんのように、悩みや不安を紛らわすために深酒をすると、うつを悪化させ、疲労に結びつきます。もともと疲れているところに飲酒を重ねると、ビタミンが消費され肝臓に負担がかかり、体調がさらに悪くなります。また、深酒をすると血糖を下げるホルモンのインスリンが分泌され、血糖値( 血液中のブドウ糖濃度)が下がって、落ち込みや情緒不安が強くなることも。心が健康なら、お酒を飲んで友達と騒げば気分転換になりますが、お酒にうつを軽くする働きはありません。深酒を止め、規則正しい生活に変え、それでも症状が改善しなければ、専門医を受診してみましょう。
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