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うつ病の症例 12「 出産後の気分の落ち込み 」( マタニティーブルー )

産後うつ
産後うつ

出産後、お母さんが憂うつな気持ちになることを「 マタニティーブルー 」といいます。これは、非常によくみられる症状で、不安や疲労感が強くイライラしたり、ちょっとしたことで涙が出て止まらなくなったり、気分が沈みがちになったりします。

不安な気持ちや疲労から起こる 産後うつ

【新米ママ Sさんの場合】
待望の第一子を出産したSさんですが、出産時に出血が多くて体調が戻らず、入院が予定よりも少し長引くことになりました。母乳の出も悪く気分も落ち込み、わけもなく涙が出てきます。

退院後は、手伝いに来てくれた義母への気遣いと、授乳のための寝不足で疲れは増すばかり。夫は残業ばかりで頼りになりません。「もう育てる自信がない、いっそ、この子をマンションから落としたら・・・」と追いつめられた気持ちになることもありました。

多くは2週間程度で自然と回復に向かうのですが、なかにはその後も不安感が何週間も続いたり、あるいはいったん回復したものの数ヶ月後にまた症状が出てきたりすることもあります。

そうなると、 産後うつ の可能性が出てきます。産後うつ病になると、育児に自信がもてず、妄想にとらわれて母子関係が悪くなることもあり、専門医の治療が必要です。

産後のホルモンバランスの乱れが原因

出産後は3時間おきの授乳などで、慢性的に寝不足になり、母親の疲労は相当なものです。さらに、女性の体内ではホルモンバランスも急激に変化し、これらがマタニティーブルーを引き起こす原因になります。

妊娠中は分娩に備えてさまざまなホルモンが分泌されていますが、分娩が終わるとそのホルモン分泌も一気に低下。とくに、分娩時の痛みをやわらげるためにたくさん分泌されていた β-エンドルフィン というホルモンが激減します。このホルモンの乱れにより、産後の女性の多くが精神的に不安定になるのです。たいていは回復しますが、Mさんのように疲れているのに義母に気を遣う、夫が頼りにならない、母乳が出ないことで罪悪感を感じるなど、不安や疲れが積み重なると、 産後うつ病 に移行してしまいます。

マタニティーブルーが重くなるか、軽く済むかは、夫の対応が決め手になります。夫がポジティブに育児に関われば、妻も子も精神的に安定します。ひとりで思いつめず、まずは夫の協力を仰ぎましょう。

精神の状態が回復しなければ、精神科などで抗うつ薬、抗不安薬の処方をしてもらいます。服薬時は、赤ちゃんに母乳はあげずミルクに切り替えます。

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うつ病の症例 11「 生理前の不快感 PMDD の可能性 」

ひきこもり

生理前の精神的な不快感は PMDD かも

【会社員 Mさんの場合】
学生時代から月経前には体調や気分が悪くなっていたMさん。最近は特に気分の変動が激しく、周囲の人との関係まで悪くなってしまいました。

とにかく、ちょっとしたことでイライラして激しい怒りを感じ職場の後輩を言い負かして泣かせたり、恋人とレストランで大声をあげての口論になったり。自分で自分がコントロールできず、職場にもいづらくなってきました。

月経前3~10 日くらいになると、体と心の両方にさまざまな不快感が出るものを 月経前症候群 ( PMS )といいます。また、特に精神的症状が強く出て普段の生活にも支障をきたすものは、 月経前不快気分障害 ( PMDD )と呼ばれています。

月経前症候群 ( PMS )の体の主な症状は、乳房が張る、痛む、手足がむくむ、下腹部が痛む、便秘になる、トイレが近くなるなどです。精神的な症状としては、イライラする、怒りっぽくなる、攻撃的になる、憂うつになる、興奮しやすくなる、無気力になる、眠れなくなるなどがあげられます。ストレスがたまっていると症状が強く出やすく、月経が始まると症状は和らいでいきます。

こうした症状の中でも、イライラしたり、不安を強く感じたりなど精神的な症状がおもに出る場合は、 PMDD ( 月経前不快気分障害 )という、重症の PMS ( 月経前症候群 )に潜んでいる精神疾患かもしれません。 PMDD は、 うつ病 と同じように、 抑うつ障害群 のひとつであるとされています。

ホルモンバランスが崩れることが原因

女性なら、月経前や月経中の下腹部痛やイライラ感はおなじみだという人もいるでしょう。もちろん、月経に関わる症状は個人差が大きいものなので、全く不快感がない女性もいます。

ただ、Mさんのように、自分をコントロールできないほどの不快感に襲われ、人間関係が悪化してしまうのは、 月経前不快気分障害 であると思われます。月経前不快気分障害は、生理前に女性ホルモンのエストロゲンが低下してくるのに伴って、脳内神経伝達物質のセロトニンの分泌が低下するために起こると考えられています。これは、個人の性格とは関係なくあくまでホルモンの影響です。あまりに症状がひどければ、抗うつ薬や抗不安薬を服用するともに、婦人科でホルモンをコントロールする治療を受けることも考える必要があります。

精神的な症状をほうっておくと、抑うつ的な気分が強くなり、周囲の人とも摩擦が起きて人と会うのを避けるようになってしまいます。そして、そのまま、 うつ病 に移行するケースもあります。
専門医の治療を受けるとともに、月経前は、ムリをせずゆっくり休むようにします。同時にセロトニンを増やす工夫も大切です。
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うつ病の症例 10「 腹痛 ・ 胃痛 」

腹痛

腹痛や胃の痛み、下痢、便秘、おなかが張るなどの症状が続き、内科や胃腸科などを受診、薬を飲んでも治らないケースがあります。こういった場合は、精神的なストレスや不安が原因になっていることがあります。

腹痛 は ストレスによる過敏性腸症候群 の可能性あり

【保険会社勤務、Nさんの場合】
Nさんは保険会社の総合職で働きはじめて5年目です。28歳という若さで早くも主任に昇格しました。肩書き付きの名刺はちょっと自慢に思えました。

でも、年下の男性社員や、一部の女性社員に対してうまくリーダーシップが発揮できません。「甘く見られているのかしら?」と考えるうちに、朝、腹痛に悩まされたり、会議の直前に下痢を繰り返しトイレに駆け込むことが増え、最近は会社に行くのが憂うつです。

腹痛や胃の痛み、下痢、便秘、おなかが張るなどの症状が続き、内科や胃腸科などを受診しても治らないケースがあります。市販の整腸薬や、病院で処方された消化器薬も効かず、原因もいまひとつはっきりしたものが見つかりません。

こういった場合には、精神的なストレスや不安が原因のひとつと考えられます。なかでも代表的なのは、 精神的ストレス が腸の活動にあらわれる 過敏性腸症候群 です。症状が重いとトイレが心配で外出しにくくなり、 うつ に陥ることもあります。
腸は、動きを活発にする 副交感神経 と、それを抑える 交感神経 で調節されています。ストレスを受けると、このふたつの自律神経の調節がうまくいかなくなり、腹痛や下痢などさまざまなおなかのトラブルに見舞われることになります。

物事のうれしい変化もストレスが同時に起こり、腹痛や下痢を引き起こす

Nさんのように、「昇進」という一見ハッピーな出来事でも、仕事環境や人間関係が大きく変わると、それが 精神的ストレス になることがあります。

Nさんがリーダーシップをとらなければと気負いすぎたのも原因のひとつでしょう。女性には誰かについていくことを好み、重い責任が伴う管理職になるのを嫌がる人も多くいます。昇進がストレスの原因になることも珍しくありません。意外なことですが、昇進に限らず、入学や就職、結婚、開業など、周囲から「おめでとう」と言われる獲得体験も、 うつ のきっかけにななることがあるのです。これは、たとえばリストラされた人も就職した人も、環境や人間関係、生活パターンが大きく変わる点では同じだからです。

過敏性腸症候群 は、不安やあせりを鎮める抗うつ薬と胃腸薬の処方で、症状は落ち着きます。リーダーシップは経験を積むことで身につくもの。薬で症状を抑えながら、失敗を恐れず仕事に取り組んでみましょう。自信がついてくれば、自然と薬を手放せます。「気持ちが落ち着いている」と自己暗示をかけるのも効果的です。
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