失恋をした、けんかをした、トラブルに巻き込まれたなど、悩みがあると食欲がなくなります。食欲と心の健康には深い関係があるのです。
食欲と心の健康
Yさんの場合
Yさんは大学在学中に知り合った恋人と付き合って4年になります。彼は転職を繰り返し、いまはフリーター生活で、Yさんが生活費を援助してあげることも。結婚をほのめかしても彼は煮えきらず、ついに浮気が発覚して別れました。彼との仲がうまくいかなくなってから食欲が落ち、今まで好きだったお菓子にも手が伸びなくなって体重も4kg 減りました。やつれて肌のハリもなく、めまいまで感じるようになりました。
とにかく食べたくない、何を食べてもおいしくない、味が感じられない、といった食欲不振もうつ病のサインです。今まで好きだったものまで食べられなくなるので、1~2ヶ月ケ月で5kg 以上も体重が落ち、やせてしまう人もいます。食べられない日が続けば、体だけではなく脳にも栄養が行き渡らなくなり、心のエネルギーも低下してしまいます。めまいや貧血、立ちくらみ、動悸などが同時に起きてくることもあるのです。
食欲不振は愛情欲求の裏返しであることも
Yさんの食欲不振の原因はなんでしょうか。心理学的には、「受け入れ難い現実」があると食欲がなくなるという傾向があります。食べることを拒否することで、自分が直面している現実を拒否しているのです。尽くしに尽くしてきた恋人に裏切られるなんて、「受け入れ難い現実」であり、Yさんは失恋したことから食欲がなくなってしまったのです。
愛情を強く求めているのに、満たされない人が食欲を失うケースもよくみられます。恋人の生活費まで負担するような献身的な女性の中には、子どものころ親から「成績がよかったらこれをあげる」といったようにギブ&テイクの育て方をされ、愛もギブ&テイクととらえてしまっている人がいます。
愛されたくて尽くしたのに愛が得られない、その満たされない思いが食欲不振につながるのです。どのような背景で食欲不振が引き起こされていても、まず、食欲の回復から解決をはかりましょう。量や栄養は不十分でも、とにかく食べられそうなものを少量口に入れます。
外食をする、野外で食べるなど、環境を変えるのもよい方法。食が進み始めれば、ハッピーな気持ちになるβ-エンドルフィンが分泌され、うつうつとした落ち込みも軽くなります。
全く食べられない日が何日も続くようなら、病院での治療も必要です。食欲増進にも効く抗うつ薬を処方してもらう、入院をして食欲を取り戻すなど専門医の力を借りましょう。食欲不振から一転、ストレス性の過食に陥ることもあるので回復後も注意が必要です。食欲は心と密接に関係するもの。食欲の変調を起こしやすい人は、満たされない気持ちを誰かに埋めてもらいたがる傾向があります。食欲が戻ったら、人のためではなく、自分のために何かをして満足する生き方に、意識して変えていきましょう。
明るくパワフルな人の中には失敗や逆境を受け入れ難い人も
Yさんのように、一見、明るく社交的でエネルギッシュ、 こんなタイプでもうつ病になることもあります。気配り上手でパワフルに仕事をこなす人は、人前ではかなり自分を演出しているもの。自覚はなくとも、周囲の評価を気にし、つねに強い自分を見せたがっています。何事もうまくいっているときは自信をもって振舞えるのですが、いったんつまずくと、その落差が受け入れられず、なかなか立ち直れません。
「仕事も恋も順調な私」が「恋愛の負け組」になってしまうなんて、それこそ受け入れ難い現実。食欲不振の原因になってしまうのです。
食べないことから貧血気味になると、顔色が悪くなります。いつもパワフルな人が食欲不振から うつ に入り始めた場合は、食欲の回復だけではなく、休養も必要です。数日間でも仕事を休んで、ゆったりとした気分を取り戻しながら食欲の回復を待ちます。
責任感も強く、弱い自分を見せたくない人は休む決断がなかなかできません。でも、ときには休む勇気も必要です。今までしっかり仕事をしてきたのなら、少し休んだからといって自分の居場所がなくなってしまうことはありませんよ。
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