女性のうつ病 > 2018年 > 5月

まじめで人当たりがいい人はうつ病になりやすい

正直

ストレスを受けることで、すべての人がうつ病になるわけではありません。うつ病には、なりやすい性格、なりにくい性格があります。
まじめで責任感が強い人だけでなく社交的で明るい人も注意が必要です。

周囲から評価される優等生タイプは注意が必要

大きなストレスはうつ病を発症するきっかけになります。でも、同じストレスを受けても、うつ病になりやすい性格となりにくい性格の人がいるのです。

うつ病になりやすいタイプは、まず、仕事熱心でまじめ、凡帳面で責任感の強い人。あるいは、人あたりがよくユーモアがあり、いつもこコニコしている人。人に何か頼まれてもなかなかノーといえず、他人からの評価が気になる人、自己中心的で未熟な性格の人もうつ病になりやすいといわれます。

仕事をしっかりこなし責任感も強い優等生タイプの人は、ふだんの社会生活の中では周囲からも信頼され高く評価されています。順調なときは問題ありませんが、大きな問題が起きたり環境が激変したりしたときは要注意です。

まじめなだけに柔軟性に欠け現状維持を好むので、変化に適応するために人一倍多くのエネルギーを費やさねばなりません。
また、人あたりのよい人は、対人関係のストレスを抱え込みがち。そのため、心身ともに疲労して、脳のバッテリー切れを起こしやすくなるのです。逆に、ふだんからムリをしない、マイペース、時と場合によってはルーズねと思われるぐらいの人はうつ病になりにくいでしょう。

うつ病になりやすい性格=悪い性格ではない

誤解しないでほしいのは、うつ病になりやすいから悪い性格、なりにくいからよい性格というわけではない点です。どんな性格にも長所と短所はつきもの。

そもそも性格はひとつの個性ですから、万人からみて短所のない100点満点の「よい性格」は存在しません。自分はうつ病になりやすい性格かもと思ったら、ストレスを避ける、リラックスする方法をたくさん持つなどして日々対応していけばよいのです。うつ病になりやすい性格の人は、ふだんは頼りになる心温かい人なのですから。

うつ病になりやすい性格?なりにくい性格

一見、正反対に見えるまじめな凡帳面タイプと人あたりがよいタイプの女性。でもどちらのタイプもそれぞれ、環境の変化に弱い、人間関係に悩みがちといった、うつになりやすいウイークポイントを持っています。

凡帳面で責任感の強い人
凡帳面で責任感が強い人は、周りからも信頼されることでしょう。ところが、その信頼を裏切つてはいけない、信頼されているのだから完壁にしなければと、頑張りすぎてしまう傾向があります。
人あたりがよくユーモアがある人
周りの人に気を遣い、いつも笑顔で「感じのいい人」というのは、頑張りすぎていることもあります。自分では気が付かないうちに、エネルギーを消耗していることもあるのです。

女性は男性よりストレスを感じやすい

男女の脳

ストレスをたくさん受けると、うつ病にかかるリスクも高まります。一見強く見える女性は男性よりもストレスを感じやすい体の仕組みになっています。

女性はストレスをやわらげる脳の物質「セロトニン」が少ない

女性は精神的に強いイメージを抱いている人も多いかもしれません。ところが、男性よりもストレスを感じやすく、その影響で体調を崩すことも多々あります。

その理由は、気分を明るくする脳内神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が男性より少ないからです。セロトニンには、興奮や不快感を鎮める働きもあります。

脳がストレスを感じると、ノルアドレナリンが過剰に分泌されます。これを抑えるためにセロトニンがたくさん消費され、気分を鎮め安定させようとします。ところが、女性はもともとセロトニン分泌量が少ないため、たびたびストレスを受けると分泌が間に合わなくなり、イライラしたり不安感が増したりして、うつになりやすいのです。

さらに、女性ホルモンの影響で、生理前にはセロトニンが減ります。これが原因で月経前に落ち込みが激しくなったり、攻撃的になったりする精神症状を「月経前気分不快障害(PMDD」といい、心療内科や精神科での治療が必要です。

情報キャッチカが優れている女性の脳はストレスも受けやすい

女性特有の脳の構造も、ストレスを受けやすくしています。右脳と左の脳の間にある「脳梁」は、両者をつなぎ情報を交流させる連絡通路。この通路が、女性のほうが太いのです。

一般的に、女性はまず右脳で相手の表情や態度をキャッチし、それを素早く左脳に送り込みます。そしてたとえば、「あの人黙っているけれど、私に手伝ってほしいのね」と言語で認識し、「手伝いましょうか」とタイミングよく声をかけるのです。

相手が言葉にしなくても、感情の変化や要求を敏感に察知できるのが女性の脳なのです。でもこれは裏返せば、余計な配慮をしがちということ。

相手の言動や表情を深読みして気を遣い、精神的に疲れてしまいます。情報キャッチカが優れている反面、女性脳はストレスを感じやすいともいえるのです。

女性と男性の脳の違い

女性の脳は、男性の脳よりも相手の表情や感情を読み取るのが上手。気配り上手な反面、ストレスも感じやすい構造です。また、ストレスをやわらげる脳内神経伝達物質「セロトニン」の分泌量も男性より少ないので、小さなストレスの積み重ねも心の負担になります。

うつ病は脳のバッテリーが切れてしまった状態

バッテリー切れ

うつ病は「気が弱い」からかかるわけではありません。じつは脳のエネルギーともいえるバッテリー切れともいえる脳内神経伝達物質が不足している状態です。

脳内には心を前向きにする物質が分泌きれている

私たちはなぜうつ病にかかるのでしょう? 気が弱い、心が弱い性質だからでしょうか。じつは、うつ病は脳内の物質が不足して起こる病気で、気の持ちようでかかったり治ったりするものではありません。

私たちの脳の中には、約1000億個ものたくさんの神経細胞(ニューロン)があります。これらが複雑なネットワークをつくり情報を伝達しているのです。

その結果、私たちは喜怒哀楽を表現したり、ものごとを考えたり判断したりします。この情報を伝達するときに、大切な役目をもつのが脳内の「神経伝達物質」。

神経細胞同士の間にはほんの少しすき間があり、神経伝達物質が細胞から細胞へと動き、「おいしい」「痛い」などの情報を運んでいます。

神経細胞のネットワークの中では、これらの神経伝達物質がバランスよく分泌され、そのおかげで脳はスムーズに働いているのです。こうした脳内神経伝達物質には、気分を明るくする「セロトニン」や、やる気を起こさせる「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」などがあります。

大きなストレスが神経伝達物質の量を減らす

ところが大きなストレスの影響を受けると、脳内神経伝達物質が減ってバランスが崩れてしまい、脳はエネルギー不足に。思考や感情の働きも鈍くなりうつになってしまいます。

車にたとえるならバッテリー切れになった状態です。バッテリーが切れた車にたくさんガソリンを入れても動きません。同じように、脳がバッテリー切れを起こすと、気分転換や周囲の励ましだけで明るい気分を復活させるのは無理。

積極的な活動はおろか日常生活もスムーズにいかないでしょう。こうなったら、心身をしっかり休ませ、脳内神経伝達物質のバランスを正常な状態に戻す抗うつ薬などを利用して、きちんと医学的に治療するのが回復の早道です。

脳がエネルギー不足って、どんな状態なの?

「ぉいしい食事」をすると、脳内神経伝達物質が分泌され、「おいしい」という情報を、神経細胞から神経細胞へと伝えていきます。

うつ病の人は、その脳内神経伝達物質の量が減り、神経細胞の働きも鈍くなり、情報が伝わりにくくなっている状態なのです。