「30分以内」が「睡眠惰性」に陥らないベストのお昼寝時間
昼寝が午後のパフォーマンスを向上させることはだんだん知られるようになってきました。最近では昼寝を積極的に取り入れているビジネスパーソンも少なくないと思います。
「昼寝がいいことはわかった。じやあどういう昼寝がいいの? 」という疑問に答えていきましょう。
まず、時間です。どのくらいの昼寝時間がいいのでしょうか?やはり、30分以内がベターだと思います。
なぜかというと、深いノンレム睡眠に入らないうちに起きたほうが、目覚めがいいからです。軽くサクツと眠って、浅いノンレム睡眠のうちに目覚める。
深いノンレム睡眠のあいだに起こされても、なかなかスッキリとは目が覚めず、起きてもボーッとした状態が続きます。
これは「睡眠慣性」という現象です。わたしたちには眠ってしまうとなかなか起きられない、という性質があるのです。ちなみにこの言葉は物理用語から来ています。
ニュートンの慣性の法則、「静止(運動)している物体は、力を加えられない限り、静止(運動)を続ける」という、あれです。このニュートン的事態に陥らないように、昼寝は短くして、起きてからは速やかにパフォーマンス機能を戻さないと、午後の仕事ははかどりません。
昼間で長々と寝てしまって、夜寝付きにくくなった経験はありませんか?
経験的にははっきりしていることですが、研究においても、深く長い昼寝は、夜の睡眠を浅くする、という結果が出ています。深い睡眠である「徐波睡眠」の出現量を減らしてしまうのです。
暗い部屋の心地いいベッドでお昼寝をするのは、NGです。起きてみたら夕方だったということにもなりかねません。長く潔く眠ってしまうと、起きた後はボーッとして仕事にならず、夜の睡眠も浅くなるわけですから、浅く短く軽く寝ておくのがいいのです。
仮眠の習慣にもっと理解と活用を
しかし昼寝がいいことは行動科学的な研究でわかってきていても、実際に現場でどうとるかはたいへん難しい問題です。
睡眠リテラシーを持ち、実際に現昼寝に対し理解があるひとは、まだまだ少ないのが現状です。
周りにひとがたくさんいるオフィスで昼寝をすると、「あのひと、たるんでいるんじゃない? 」という陰口や、「お前昼寝なんかして、やる気あるのか! 」という罵声が飛びそうです。
時間を15~20分程度に絞って仮眠し、起きている時間は集中的に業務を頑張るのが、新味はないですがオーソドックスなべストスタイルでしょう。
ベッドに入らず、ゆったりできる椅子で眠る。カフェのソファで居眠りする感覚ですね。アイマスクやイヤホンを使って刺激を遮断するのもいい方法です。深く眠らないのがコツなので、携帯電話でアラームを設定、あるいは昼寝前にコーヒーを飲むと、30分後ぐらいにカフェインが吸収されて覚醒作用があらわれてくるので、うまく目覚められます。
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