女性の老化防止の習慣 > ふたつの女性ホルモン

更年期障害が若年化 30歳からはじまってしまう人も

最近は、更年期障害が若年化 しています。どういったことが原因でしょうか?30歳代で婦人科を受診する人が急増しています。

更年期障害が若年化
更年期障害が若年化

女性が人生のうちに、必ず通ることになる 更年期 。これは、避けることができません。

閉経の前後5年の約10年間を指し、この時期に、

  • 生理不順
  • イライラ
  • 不安感
  • ほてりやのぼせ
  • 冷え
  • 肩こり
  • 膣の乾燥
  • 頭痛
  • 胃腸系トラブル

など、不快な諸症状が起こることを、 更年期障害 といいます。実は、最近、その発生時期が早まってきているという事実をご存じでしょうか。

閉経の平均年齢は51 〜 52 歳です。その前後5年ですから、普通で考えれば45 〜 55 歳くらいが 更年期 ということになるでしょう。

ところが最近は、早い人では 30代後半 からはじまっているのです。40代前半で更年期を疑って病院を受診する人が増えています。自分の母親の更年期症状を見て、自分も同じように30歳代で更年期症状があらわれて病院を受診するといったケースです。

更年期障害の若年化の理由は、はっきりとはわかっていませんが、近年問題となっている 環境ホルモン の影響は大きいと思われます。 環境ホルモン とは、内分泌乱物質ともいい、体内であたかもホルモンのような働きをしてしまう化学物質のことで、もともとは自然界に存在していないものです。

たとえば大気汚染物質の PM2.5 や ダイオキシン 、 農薬 、さらに、 着色料 や 保存料 といった 食品添加物 など、私たちのまわりにあるさまざまな商品に含まれています。

水道水 には 消毒 のために 次亜塩素酸ナトリウム が入っていますし、 シャンプー や リンス 、 化粧品 、 洗剤 、 柔軟剤 、 制汗スプレー 、消臭スプレー、 柔軟剤 、 殺虫剤 などなど、 化学物質 が添加されているものすべてに 環境ホルモン が含まれています。

しかも、驚くのは、ここからです。 環境ホルモン には エストロゲン に似た働きを持つものが実に多いのです。そのため、体内に入った 環境ホルモン は、 エストロゲン と同じように働いてしまうため、結果的に エストロゲン 優勢状態が起きやすくなります。

更年期障害の若年化だけでなく、 PMS が増えていることも、おそらく 環境ホルモン が関係していると考えて間違いなさそうです。

つまり、現代の日本で暮らしている限り、 環境ホルモン の影響で、誰しも、どうしても エストロゲン 優勢になりやすいのです。

環境ホルモンの影響は長年の蓄積によるので、それほど神経質になることはないのですが、とはいえ、 エストロゲン 優勢になりやすい環境で生きている、ということだけは知っておいたほうがよいと思います。

なお、人は、体内で増え過ぎた エストロゲン 、及び エストロゲン に似た働きをする 環境ホルモン を、肝臓で代謝し、体外へ排出するようにできています。

しかし、その量が多過ぎたり、肝臓が弱っていたり、代謝に必要な酵素や栄養が足りなければ、体内にどんどん エストロゲン が増えていくことになります。

ですから、女性が40代後半になってもいつまでも若々しく健康であるためには、 エストロゲン を増やすというよりも、むしろ、 環境ホルモン を含めて エストロゲン が増え過ぎないようにする、増え過ぎてしまった エストロゲン の代謝を促す、このふたつを心がけることがとても重要なのです。

女性は特に 化粧品 の添加物について重要です。

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エストロゲン優位の状態が 女性特有の病気 を招く

若い頃は、誰しも病気とはあまり稼がないものです。しかし、40歳を過ぎると、男性も女性も、病院を訪れる人が急に増えはじめます。

特に女性の場合、それまであまり経験がなかった婦人科系の病気になることが増えてくるため、悩んでいる方は少なくありません。

女性特有の病気
女性特有の病気

こうした現象も、 女性ホルモン の変化と大いに関係があります。まず、無排卵月経がはじまる30代後半になると、卵巣嚢腫になる方が増えます。無症状の方から出血や痛みを伴う方までさまざまですが、その原因は、ホルモンの乱れにより排卵がうまくいかなくなった結果として起こると考えられています。

また、膣炎も増えはじめます。 エストロゲン には、膣の渇きや粘膜の萎縮を予防する働きがあるので、これが減ってくると、潤いがなくなり、細菌などに対する抵抗力が落ちるのです。

その結果、膣が委縮したり、膣炎にかかりやすくなります。そして、女性ホルモンが全体に低下した上に、 エストロゲン 優勢状態になると、カンジタ症になりやすくなります。

カンジタ菌は健康なときも人の皮膚や粘膜にある菌で、本来は有害なものではありません。しかし、抵抗力が落ちるなどの原因でカンジタ菌が異常に増殖してしまうと、かゆみなどの症状を引き起こします。

カンジタ菌の栄養分はブドウ糖なのですが、エストロゲン優勢状態だと粘膜にブドウ糖が増えるため、カンジタ菌が増えやすくなってしまうのです。

子宮内膜の細胞が、本来あるべきでない生殖器や骨盤の中、大腸、膀胱などで増殖してしまう子宮内膜症も、 エストロゲン 優勢状態が解消すると改善されることがあります。

子宮内膜症の原因はわかっていませんが、エストロゲンには子宮内膜細胞を刺激して増殖させる働きがあるからです。さらに、近年、増加傾向にある子宮頚部異形成や子宮がんも、実はエストロゲンにょって引き起こされる可能性が高いと考えられるようにななってきました。

子宮頚部異形成とは、子宮がん検査によって、「がんの前段階」と判断された状態のことです。

一般的な原因は、パピロマウィルスの感染です。何らかの刺激によって子宮頸管が傷つき、それが一因でウィルスに感染して炎症を起こしてしまうのです。

そして、そのときできた細胞が時間をかけてがんへと進展していくことがあるわけです。

しかし、軽度の子宮頚部異形成の場合、自然治癒することも多いので、経過観察を行っていれば、それほど心配することはありません。

ただ、何度も述べてきたように、 エストロゲン には細胞の増殖を推進する働きがあるので、子宮頚部異形成も、子宮がんも、エストロゲン優勢状態が長く続くとリスクが上がると考えて間違いないでしょう。

なお、もっともポピュラーな婦人科系の病気である子宮筋腫も、エストロゲン優勢と深い関係にあります。子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、原因はよくわかっていませんが、エストロゲンが筋腫の成長を促すことがわかっています。

実際、閉経が近づいてエストロゲンが低下してくると、筋腫も小さくなっていくのですが、その際、プロゲステロンが十分にあると、よりその後の経過が良いことが報告されています。