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脳がオーバーヒートしないための眠り方

脳のオーバーヒートを防ぐ

脳のクールダウンは大事

「ホメオスタシス」という言葉、学校の保健体育の授業で耳にしたことはないでしょうか?「ホメオスタシス」とは「恒常性」とも訳されます。

「ホメオスタシス」は生物の持つ重要な性質のひとつで、内外の環境変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという機能または状態を指します。
わかりやすい例は、体温です。人間の体温は約36度ですが、暑いところでは汗をかいて体温を下げようとしますし、寒いところでは震えなどで体温を上げようとします。

なるべく一定に保とう、と頑張るのが、ホメオスタシスの機能です。したがって恒常性を保つには、生じた変化を元に戻して打ち消そうとする作用が必要です。この打ち消し作用のことを、フィードバックともいいます。

同じようなホメオスタシスが、覚醒・睡眠の学習にもあるというのが、近年では世界的に注目されている仮説です。アメリカ・ウィスコンシン大学のジュリオ・トノーニ教授が、この説の提唱者です。

彼の主張の内容はなかなか難しいのですが、こう解釈しています。まず、シナプスを連想してみてください。シナプスとは、神経細胞同士の隙間のことです。この隙間を通して、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がやりとりされます。

人間の脳機能は、このシナプスの活動によってすべてが行われています。人間は学習すると、シナプスの活動が活発になります。勉強すれば海馬や前頭葉の活動の、スポーツをすれば運動を司る運動野という部分の、それぞれのシナプスが活性化されます。

活発になったままでは、オーバーヒートしてしまいます。そこで先はど述べた「フィードバック」が必要なのです。いわばクールダウンですね。このクールダウンが、深いノンレム睡眠、すなわち徐波睡眠なのです。

徐波睡眠とは何度かど説明したように深い睡眠のことで、脳波では2〜3ヘルツのデルタ波と呼ばれる遅い脳波が多量に出現しています。

この遅い脳波、すなわち徐波が、シナプスを恒常的に維持するためのエネルギーバランスを保つ現象だというのです。

どうでもいいことは忘れ、重要なことを頭にインプットする

この徐波睡眠のあいだに、シナプス間の強度がある一定のレベルに達しないものは排除され、逆に強度の強いものは強化されます。

どうでもいいことは忘れられ、重要なことは頭に入る、平たくいうとこういうことだと思います。入力された情報を整理し不要なシナプスを取り除くことで、睡眠をとったあとの記憶定着率が上がります。

また、翌日学習するための新たなスペースを作り出す、というメリットも出てきます。

大雑把な話でしたが、これで人間の記憶定着にノンレム徐波睡眠がいかに重要かが、おわかりいただけたと思います。

人間のホメオスタシスは、起きているときだけに機能しているわけではありません。睡眠はそれ自体が、重要なクールダウンともいえるわけです。繰り返しになりますが、「よく学び、よく休む(眠る)」ことが勉強や学習にはたいへん重要だということです。

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