午後2時と午前4時に眠くなるのは、人間の「生体リズム」のせい
お昼の後の仮眠は15~20分程度がベストでも紹介していますが、昼寝は脳を休めるためには、非常におすすめです。
ビル・クリントン、マーガレット・サッチャー、ウインストン・チャーチル、アルバート・アインシュタイン、ヨハネス・ブラームス、トマス・エジソン、さて共通点はなんでしょう?
答えは、全員お昼寝をしていました。昼寝の習慣は、研究や実験から科学的に作り出されたものではありません。スペインの昼寝の習慣であるシエスタは、灼熱の夏を乗り切るために自然に行われるようになった、先人の知恵と考えられます。
スペインでは近年シエスタを見直していく方向のようですが、一方、勤勉を義・信条とするプロテスタントの国アメリカのビジネスパーソンのあいだでは「昼寝」が広がりつつあります。
昼寝のことを英語で「Nap」といいます。これにかこつけて、デーブ・スペクターさんのダジャレではないですが「Power up」と宣伝される機会も増えてきました。
人間の生体リズムからも、午後2時と午前4時に眠気の波が来ることがわかっています。午後2時に仮眠をとるのはその意味でも合理的なのですが、健康面にもプラスに働くことを示しておきましょう。
ハーバード大学公衆衛生大学院のグループが2007年の「アーカイヴス・オブ・インターナル・メディスン」誌に発表した論文からです。
約2万4000人のギリシャ人男女を6年間にわたって追跡調査した結果、少なくとも過3回、平均30分以上の昼寝を定期的にするひとは、昼寝をしないひとに比べて、心筋梗塞など心疾患による死亡リスクが37%低いことが判明しました。
ときどきしか昼寝をしないひとでも、統計的な有意差はないのですが、心疾患死亡リスクに12%の低下が見られたそうです。昼寝だけでなく、オリーブ油たっぷりのギリシャ料理も関係していると思いますが、昼寝が健康にいいことを示す大規模調査です。
昼寝をしたひとのほうが、仕事が早い?
昼寝が午後のパフォーマンス向上に役立つことも、研究によってわかってきています。昼寝研究では世界第一人者であるサラ・メドニック博士が2002年の「ネイチャー・ニューロサイエンス」誌に発表した報告です。
30人の学生に実験に参加してもらいました。1日に4回の同じ視覚テストを行いますが、時間が経つにつれて疲れてきて知覚能力がだんだん低下していきます。
さて、この能率ダウンを防ぐのにいい方法がありました。それは、2回目と3回目のテストのあいだに昼寝をすることでした。昼寝をしなかった場合には、視覚刺激への反応速度は遅くなり、最終的には52%もダウンしてしまいました。
これに対し、3回目のテスト前(午後2時)に30分間の昼寝をしたひとでは、後半のテストでも知覚力は低下しませんでした。驚くべきことに、60分間の昼寝をしたひとでは、4 回目の最終テストでも、最初の1 回目のテストと同じ知覚能力を保っていたのです。
昼寝が午後のパフォーマンスをアップさせる報告は、これに限らずたくさん発表されています。昼寝は健康にもいいようですし、午後の能率アップにも役に立っている可能性は大きいといえましょう。
歴史的な偉人・賢人も昼寝をしてパフォーマンスを維持していた事実は、科学的なエビデンスに基づいていたということです。