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日本の ホルモン治療 はNGだった?

女性ホルモンと深い関係性の 『 副腎 』 『 甲状腺 』

日本の ホルモン治療 はNGだった? 40歳を過ぎて

  • なんだか、気分が冴えない
  • 体調が優れない

と感じた女性が婦人科などの病院を受診すると、 更年期障害 の諸症状を緩和するために、 ホルモン治療 を勧められることが少なくありません。

実際に行っている方も、いらっしやると思います。 ホルモン治療 とは、ひとことで言うと、必要なホルモンを体外から補充する治療です。

正しく行えば非常に有効な治療なのですが、一般に行われている ホルモン治療 の中には、症状が改善しないばかりか、むしろ悪くなってしまうものがあるのです。

ここで、日本における女性を対象とし たホルモン治療 の大きな問題を、先に紹介しましょう。

「エストロゲン神話」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。「女性の若さと健康はエストロゲンによって守られている」という考え方で、もともとは、アメリカなどでもそう考えられていました。

そのため、 更年期障害 の女性などにエストロゲンを補充する治療が行われるようになったのですが、実際には良くなる人が少なく、むしろ、子宮筋腫や子宮内膜症が進んでしまう七いう現象が見られるようになりました。

その後研究が進むと、エストロゲンの悪い作用や、 エストロゲン優勢状態 の危険性などが次々明らかになり、更年期障害の治療には、まずは、 プロゲステロン を補充し、それでも、のぼせなど自律神経系の症状が改善しない場合にだけ、少量のエストロゲンを短期間だけ使用したほうが、効果的でかつ安全だということがわかってきたのです。

このため、現在、アメリカでは、女性の若さと健康のためのホルモン治療といえば、 プロゲステロン の補充が常識となっています。

ところが日本では未だに「エストロゲン神話」が根強く、更年期障害などに悩む患者さんに対して、エストロゲンが補充されてしまうことが少なくないのです。普通、中高年女性の多くは エストロゲン優勢状態 に陥っていますから、そこに エストロゲン を補充すれば、余計に体調が悪くなってしまうのも当然です。

しかも、 エストロゲン 補充を長期間行えば、 乳がん 子宮がん それに、 心臓病 、 脳卒中 などのリスクさえ上がってしまいます。

すでにアメリカでは、一般の女性の間にも「プロゲステロン補充」という概念が広まっています。 プロゲステロン を手軽に補充できるクリームが市販されており、誰でも簡単に入手できるようになっています。

プロゲステロン クリーム も市販されていますが、エストロゲンの補充がリスクが高いことも知られているため、こちらは病院を受診して、必要に応じて医師に処方してもらっている方が多いようです。しかも、日本のホルモン治療の問題点はそれだけではありません。

更年期障害などに保険適用で使用できる プロゲステロン は、天然の プロゲステロン ではなく、副作用が多い人工のプロゲステロン ( プロゲスチン ) のみになっているのです。

天然の プロゲステロン もあるのですが、流産や不妊治療に使用される注射や膣剤のみになります。

また、医師が利用している薬の本の分類においても、この プロゲスチン がいかにもプロゲステロンと同等に書かれているものもあるので、医師も知らずに使用しているケースが多いかもしれません。

もしもホルモン治療を行うなら、天然 プロゲステロン の補充を行っている医師を探されることを、強くお勧めします。

妊娠経験のない人は、より注意が必要

妊娠経験のない人は、より注意が必要

妊娠経験のない人は、より注意が必要 ということはどういうことでしょうか?最近は、生涯、妊娠・出産を経験しない女性も決して少なくありません。

よく、「出産していない女性は、している女性に比べて、婦人科系の がん など、病気になりやすい」といわれていますが、それは、なぜなのでしょう。

妊娠経験のない人は、より注意が必要
妊娠経験のない人は、より注意が必要

理由はやはり、 エストロゲン優勢状態 にあります。 プロゲステロン は、妊娠と出産において非常に重要な役割を果たすホルモンであり、子宮内膜を維持する働きをしています。

毎月、排卵があっても妊娠しない場合、一度上がっていた プロゲステロン の分泌が急激に下がることで、子宮内膜が体外に排出されます。これが生理です。ですから、卵子が受精し、着床すると、子宮内膜が排出されないように、プロゲステロン はその後も分泌され続けることになります。

さらに、胎盤ができると、そこで プロゲステロン が作られ、以降は出産日に向けて、その生産量は桁違いに増えていきます。そして出産後、 プロゲステロン の量は急激に下がり、元の分泌量に戻るのです。

つまり、妊娠している間は、 プロゲステロン が高い値が続くので、妊娠・出産の回数が多いほど、一生のうち、体内のプロゲステロン高値の期間が長くなります。

反対に、妊娠・出産の経験がなければ、 エストロゲン優勢状態 にさらされている時間は長くなつてしまいます。 エストロゲン には細胞の増殖を促す力があり、 プロゲステロン にはそれを抑える力があります。ですから、 エストロゲン優勢状態 である時間が長ければ長いほど、どうしても 乳がん や 子宮がん のリスクは上がってしまうのです。

実際に、出産している人に 乳がん 子宮がん が少ないのは、そのためです。ただし、妊娠経験がなくても がん にならない人は大勢います。あまり神経質になる必要はありませんが、がん検診などはしっかり受けておくと安心だと思います。

乳がんの教科書