浄水器はろ材で決まる
水道水のリスクを考えると、浄水器を設置したくなるのは当然のことです。ここでは、どのようにして浄水器を選んだらよいかに焦点を当てようと思います。
浄水器に必須のろ材(ろ過装置・フィルターに使用するろ過層に入れるための素材)にはどのような種類がどのくらいあるかを見てみましょう。
ほとんどの浄水器は、基本的に除去物質が異なる2つ以上のろ材を組み合わせて使用しています。ろ材は浄水器の命。何をどのように使うかで、浄水能力にも影響してきます。
- 粒状活性炭
- 昔から一般的にろ材として使用されている活性炭は、樹木、竹、椰子ガラなどを焼いた炭のことで、ろ材として使用されるのはもっとも良質な椰子ガラを原料にしたものです。
活性炭は吸着能力が高く、水の中でも接触面積が大きいだけでなく、使用期間も長いのが特徴です。 - 銀添着活性炭
- 高品質の椰子ガラ活性炭に銀を添加させたもので、銀が持っている殺菌力を利用しています。銀は有毒という人もいますが、100㎍/Lの水を毎日飲み続けてもまったく問題ありません。
- 繊維状活性炭
- 糸状のプラスチックを原材料に繊維状にしたものです。水中における有機物の吸着能力に優れています。粒状活性炭との組み合わせで、ほとんどの有機物を除去することができます。
- イオン交換樹脂
- 水の中の金属イオンを吸着して無害のイオンに交換しますが、細菌や有機物質は除去できません。表面積が大きく交換速度が速いという特徴がある一方、値段も高く交換期問が短いという難点があります。
- ハイドロキシアパタイト
- 骨などの主成分であるリン酸カルシウムの一種。水に溶けている鉛を除去するのに使用されています。鉛プラスイオンを吸着してカルシウムプラスイオンを放出します。
物質はプラスイオンとマイナスイオンでできていて、カルシウムはイオン化するとプラスイオンになります。イオン化すると吸収率がアップします。 - RO膜
- 水不足を懸念し1960年にアメリカで海水淡水化が実用化されたもの。現在、アメリカでは80%以上の家庭でRO膜タイプの浄水器が使用されているといいます。RO膜のろ材は、塩素、トリハロメタン、トリクロロエチレン、細菌、赤サピ、アスベスト繊維、放射線物質、各種ミネラルなどを取り除いてピュアウォーター(純水)をつくることができます。
- 中空糸膜
- 浄水器にもっとも多く使用されています。中空糸膜の口径は0.1~0.3µmなので細菌、ウイルス、藻類、赤サビなどを除去します。中空糸膜は無菌水の製造にも使用されています。活性炭や中空糸膜を使った浄水器はミネラルが除去されずに残ります。
浄水器を選ぶポイント
浄水器のほとんどは、数種類のろ材を使ってトリハロメタン、細菌などの有害物質を除去しています。大切なのは、どのような有害物質を除去する能力があるかということです。
浄水器には除去する物質が明記されています。逆にいうと、明示のない物質はほとんど除去されないと思ってよいでしょう。
蛇口に直接取り付ける安価なものでも、活性炭や中空糸膜のろ材を使って、ミネラルは残したままトリハロメタンなどの有害物質を除去するものあります。忘れられがちなものに、お風呂のシャワーがあります。
塩素は皮膚からは吸収されませんが、皮膚を荒らしますので、少なくとも塩素を取り除くシャワーヘッドを使って、髪や肌を洗うようにしたいものです。ちなみに、お風呂はドラッグストアで市販されているアスコルビン酸を1g入れてからお湯を溜めるようにすると塩素反応は消えてしまいます。